搭乗者傷害保険は一時金程度の補償
今回は自分や同乗者に対する補償について見ていきたいと思います。

なお、今回も前回に引き続き対人賠償保険や対人賠償保険は無制限を前提としています。
見積もりの際の条件は250cc超、30歳以上限定、レジャー利用、
他車運転特約、弁護士特約、ゴールド、新規6S等級としています。
搭乗者傷害保険は契約車搭乗中の事故により死傷した場合または
後遺障害が生じた場合に、所定の保険金が支払われる制度です。
多くのバイク保険においては200万円、300万円、500万円、1000万円など、
金額を選択することができます。
搭乗者傷害保険および後述する人身傷害補償特約はどちらかをセットする必要があります。 また、両方セットすることができる保険もあります。
この搭乗者傷害保険の対象者は契約の車の正規の乗車装置または、
その装置のある室内に搭乗中の者が対象です。
非常にまどろっこしい書き方ですが、記名被保険者はもちろんのこと、
同乗者についてもそれぞれについて保険の対象(被保険者)になります。
この搭乗者保険の一番の特徴は支払われる保険金額がすでに定まっている点にあります。 実際にどのような保険金の種類があるのかと言うと、
アクサダイレクトの保険約款では次のように記載されています。
保険金の種類 | 保険金の概要 |
死亡保険金 | 事故の発生の日から180日以内に死亡された場合に、被保険者1名につき保険金額 を死亡保険金としてお支払いします。 |
後遺障害保険金 | 事故の発生の日から180日以内に後遺障 害を被られた場合に、その後遺障害の程度 に応じて被保険者1名につき保険金額の4% ~100% を後遺障害保険金としてお支払 いします。 |
重度後遺障害特 別保険金 | 事故の発生の日から180日以内に約款に定める重度の後遺障害を被られた場合 で、かつ、介護を必要とすると認められ る場合に、被保険者1名につき保険金額の 10%(100万円を限度)を重度後遺障害特 別保険金としてお支払いします。 |
重度後遺障害介 護費用保険金 | 重度後遺障害特別保険金をお支払いする 場合に、後遺障害保険金に加えて被保険者 1名につき後遺障害保険金の50%(500万 円を限度)を重度後遺障害介護費用保険金 としてお支払いします。 |
医療保険金 | 入院または通院された場合に、被保険者1 名につき、入通院日数4日以内のときは1万 円、5日以上のときは部位・症状(注)に応 じて10万円・30万円・50万円・100万円の いずれかの一時金を医療保険金としてお支 払いします。 |
https://www.axa-direct.co.jp/conditions/pdf/auto/auto_conditions_201910.pdf
例えばバイク事故で骨折した時は30万円、
後遺症がのこった場合でも保険金額の4%~100%です。
つまり、搭乗者傷害保険の保険金額を300万円にした場合は後遺症によって、
最大でも300万円までしかもらえません。
死亡保険金はもちろん保険金額である300万円のみとなります。
搭乗者傷害保険の保険金額は数百万円から最大でも1000万円程度と低額であるため、
大きな傷害や後遺症が残ることが想定されるバイクにおいては、
自分のケガの治療費や休業補償をこの保険でまかなえるものではありません。
ちなみに、対車の自動車事故であればその過失割合に応じて相手の対人賠償保険、
対物賠償保険が利用されるのですが、単独事故や対物事故の場合は当然、
自身の搭乗者傷害保険から保険金がおりることになります。
また、この搭乗者傷害保険では逸失利益については補償されません。
逸失利益とは例えば、ケガで入院している間の収入などです。
数十万円や数百万円では治療費としても心もとないですが、
その間の生活や一生涯の障害を負った際の保険金としても数百万円程度になります。
事故を想定するなら人身傷害補償特約は必要
人身傷害特約は自動車事故により、契約車に搭乗中の方が死傷した場合などに、
実際の損害に対して、 約款に記載の損害額基準に従い保険金を支払う特約です。
こちらは、保険金額を上限とした治療費や精神的損害などの実際の損害額が支払われます。
人身傷害特約は私の知る限りすべてのバイク保険でこの特約をセットすることができます。
この保険金額についても1000万円から1億円まで選べるバイク保険(AIG)から、
3000万円しか選べない(チューリッヒ、アクサ、三井ダイレクト)まで様々です。
多くのバイク保険では3000万円に設定しているものが多いようです。
人身傷害特約をセットにすると搭乗者傷害保険が選択できなくなる場合もありますが、
(アクサ)
多くの場合は搭乗者傷害保険と人身傷害特約をセットで組み合わせることができます
(チューリッヒ、三井ダイレクト、AIG)
この人身傷害特約の補償の対象となるのは記名被保険者の他、その配偶者、
同居親族、 配偶者の別居の未婚の子、 それ以外のご契約のお車の正規の乗車装置または、
その装置のある室内に搭乗中の者など広く対象になります。
なぜ人身傷害補償特約は保険金額が高額になるのか?
人身傷害補償特約をつけると保険料は、
付けない場合に比較して2倍から3倍程度に跳ね上がります。
これは人身傷害補償をすると保険会社も支払う保険金が高額になるからです。
例えば最も補償の少ない搭乗者傷害200万円、300万円のバイク保険が、
23,960円/年であるのに対して、人身傷害保険3000万円をつけると、
53,190円から56,420円程度になります。(チューリッヒ、アクサ)
バイクの場合は一度事故を起こしてしまうと最低でも打撲、
悪ければ骨折程度にはなり得ます。 体を強く打った場合は最悪死亡、
脊髄損傷や複雑骨折になることは容易に想像できます。
そうした場合、治療費はもちろん高額ですが、
長期間働くことができなくなるということも考えると、 年間数万円の保険料で
3000万円の補償というのも決して高額過ぎるということはないですよね。
搭乗者傷害保険が数百万円の一時金で補償打ち切りなのに対して、
上限はあれど、総損害額補償する人身傷害補償はライダー必須とも言えます。
搭乗者傷害保険と人身傷害補償特約の違いはどこにある?
搭乗者傷害保険と人身傷害補償特約の違いはおわかりいただけましたでしょうか?
当然ですがどちらもつけることが補償内容としては良いのですが、
併用している人はあまり多くないかもしれません。
インターネットで申し込めるバイク保険でこの2つを併用できてかつ、
人身傷害補償特約が無制限を選べるのはAIGでした。
搭乗者傷害保険500万円の人身傷害特約無制限という最大限の補償で、
124,020円/年と高額ですがまさにベストな選択です。
時々「搭乗者障害保険は記名被保険者以外が補償されない」という勘違いがありますが、
どちらの場合であっても搭乗者は全員補償の対象になります。
あくまで違うのは保険金の支払われ方、そして保険が適用される範囲です。
以下にバイク保険における搭乗者傷害保険と人身傷害特約についてまとめました。
搭乗者傷害保険 | 人身傷害補償特約 | 人身傷害特約(搭乗中のみ) | |
保険金額 | 100万円〜1000万円 (選択できる金額は保険による) | 1000万円から無制限 (選択できる金額は保険による) | 1000万円から無制限 (選択できる金額は保険による) |
保険金の違い | 約款に記載の損害額基準に従い 所定の保険金が支払われる | 実際の損害に対して約款に記載の損害額基準に従い保険金を支払われる | 実際の損害に対して約款に記載の損害額基準に従い保険金を支払われる |
契約のバイクに搭乗中の事故 | 搭乗者全員補償される | 搭乗者全員補償される | 搭乗者全員補償される |
他人のバイク、バス、タクシーに搭乗中の事故 | ✕ | 記名被保険者とその家族のみ 補償される | ✕ |
歩行中の事故 | ✕ | 記名被保険者とその家族のみ 補償される | ✕ |
保険料 | 安い 最低限の保険内容となり、年間15000円くらいから3万円程度 | 高い 最大限の保険内容となり人身傷害補償無制限の場合は年間保険料10万円を超える | 高い 搭乗中限定特約を付けた場合、通常の人身傷害特約からおおよそ5千円から1万円程度安くなる |
人身傷害特約に搭乗中限定の特約をつける理由としては、
家族が別のバイク保険に加入している場合は不要だからです。
家族のバイク保険に人身傷害補償特約があれば、そのバイクに搭乗中の事故や、
バス、タクシー、歩行中の事故は補償されるので重複してしまうというために、
このような制度を設けているようです。
その他の傷害保険や生命保険内容と組み合わせて選ぼう!
バイク保険に人身傷害補償特約が付けられるようになったのは最近と聞いています。
普通自動車の自動車保険では基本補償に人身傷害補償があり、
搭乗者傷害はあくまで一時金として支払われるプラスの補償として捉えられます。
しかし、バイクは乗用車と比較しても人身傷害に至る可能性が高く、
高額な治療費や逸失利益が発生するため、
バイク保険において人身傷害補償をすることが難しかったはずです。
それでも保険会社の努力と時代の変化や、特にライダー高齢化が進んだためか、
昔より手厚い保険を選ぶことができるようになりました。
バイク保険における人身傷害補償は付けたほうが良いと考えていますが、
保険料はとても高額になります。
そのため、保険会社によって保険料も異なります。
必ず見積もりを取ったほうが良いでしょう。
また、他人のバイクを運転することがある場合は
「他車運転危険保証特約」が付くバイク保険が必須です。
未婚のカップル等でお互いのバイクを交換するときも同様です。
AIGでは数百円で付帯できますし、チューリッヒでは自動付帯です。
https://zurich-japan-faq.custhelp.com/app/answers/y_detail/a_id/1587/ https://www-472.aig.co.jp/bike/15_202001.html
一方でアクサダイレクトは比較的バイク保険は安めですが、
他車運転危険保証特約はついていません。
こちらのブログでもバイク保険における他車運転危険保証特約が
付帯できる保険会社について紹介されています。 https://bikehoken.info/nini/karibaikunohoken.html#i-5
まとめ
可能な限り自分や同乗者のために「搭乗者傷害保険」に加えて、
「人身傷害保険(特約)」をつけましょう。
しかし、支払われる保険金額が高額になればなるほど当然保険料は高額になるので、
自分が安全運転を心がけることを前提にして適切な保険を選択しましょう。
バイク保険も保険会社によって価格はもちろん、補償内容が異なるので気をつけましょう。
特に他人のバイクに乗るときは友人のものだったとしても、
必ず「他車運転危険保証特約」付きバイク保険に加入しましょうね!
https://bike.lindablog.net/bike-insurance/